shudaily

日記

2019/11/8

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校了したのは一昨日の夜であった。当初よりもスケジュールがかなり長引いてしまい、関係者には多大なご負担をかけてしまった。私も途中でスピリチュアル・ノックダウン(ポップに言うとこうなる)をくらってしまい今も若干尾を引いているという状況で、情けないと言わざるをえない。わなわな感とともに校了のための仕上げの作業をし、印刷屋さんへ電話、入稿を終える。直後、いつもなら関係者へ校了の旨を伝えるメールをするのだが、テキストを書く手がとまってしまったので翌日落ち着いて打ち直す。

次の日は昼に印刷立会い。そして今日も印刷立会い。今回はカバー・帯ともにオペークインクの上に特色をのせるので、1日目にオペークを刷って乾かし、2日目に特色を刷るという 2Days。

印刷所へはデザイナさんと赴く。私が着るものはほとんどワンピース丈のものであるためか「心は女性なのですか?」と聞かれた。それに対し、「女性に好意を寄せる男性です」と答えておいた。例えばグレースケールにおける黒がいわゆる”男性”だとすると、65%ほどに見える容姿でいたいとなんとなくおもっている。彼の聞き方からして、その思惑はひとまず成功していると言えるだろうか。ついでに、ほとんどの服は排泄器が人体の中心にあることを念頭に作られていないと愚痴ったら、そんなどうでもいいことを考えているのですねと言われてしまった。男性である私にとってワンピース丈は排泄時とても不便であるし、普通の服にしたってズボンのチャックを開けて下着をかき分けたりパンツをズリっと降ろしたりと、あまり排泄に適しているとはおもえない。排泄に最適化させて服を作るなんてナンセンスかもしれないが、着ている服を動かすのはそのときくらいなのだし、ともおもう。大きな植物のような服からヒダをかき分けるようにして排泄できる服があれば今よりはずっと快適になるだろうに。妄想である。

印刷所へ着く。担当の方に相談しながら色の調整を進める。オペークにのせる色は本文にも使うので両色味をなるべく合わせたかったのだが、カバー・帯と本文の紙色が若干異なるし、そもそもオペーク上なので発色はそりゃ変わる。すでに一部刷り上がっている本文の見本とつきあわせながら調整してもらうが、やはりぴったりは難しく、かといって本文色に寄せ過ぎるとカバー・帯の印象がずれる。加えて、乾けば色味は変化する(赤が浮き出てくるらしい)。いろいろ悩んだ末に、よきところでデザイナさんに決断してもらう。印刷所を出る。電車で帰る途中、継続できる制作の仕方をしないと何も意味ないですよね、とデザイナさんがボソッと言う。私にグサリと突き刺さる。そうですね、と返す。

彼とわかれ、次の打ち合わせに向かおうとしていたところ、Ccに私を含むメールが飛んでくる。どうもキナくさい雰囲気を漂わせているので、うげえとおもいつつもすぐに対応すべくマックに寄る。メールを返し、加えて細々とした業務もしちゃったりなんかする。そして打ち合わせ現場へ。事務所はとても綺麗なマンションだったので入り口でひとまず躊躇する。逃げる、という選択肢がないので緊張しながら建物に入る。ピンポンを鳴らす。室内は作業場らしき机とデスクトップPC、ダイニング側にはテーブル、一枚の絵とネオンサインの作品、あとミケーレ・デ・ルッキのランプをぐねぐねにしたような照明が壁の方を向いて暗く佇んでいるくらいで、おどろくほど物が少なかった。それに紙のたぐいはひとつも見かけなかった(もちろん他の部屋もあるのだろうが)。初対面の方であったが、話が進み安心する。仮眠として床で寝るけどすぐに床の硬度になれてぐっすり寝ちゃいますよね、みたいな会話を最後に事務所をあとにする。

外はすっかり暗い。会社へもどり、校了〜刊行までにするべき業務の続きをする。コートを着るには暑いくらいの電車に乗って帰宅。

届いていた低級失誤の作品集を眺めて癒され、気がつけば日付が変わっている。